おすすめの単体テストフレームワークを探してみる(C#編:2024年6月)

皆さんは、ソフトウェア開発で単体テストフレームワークを利用していますか?
最近の開発現場を見ているとCI/CD環境の導入が進むにつれ、一緒に単体テストフレームワークの導入も増えてきているように感じられます。
しかし、単体テストフレームワークも開発言語によって色々あり、初めて導入する場合はどのフレームワークを採用したら良いか悩むことがあるかと思います。

そこで、本記事では、C#をターゲットに「おすすめの単体テストフレームワーク」をまとめてみましたので、その内容をご紹介します。

目次

 

単体テストフレームワークの種類

C#で有名な単体テストフレームワークを3つご紹介します。

1.MSTest

MSTestは、Microsoft Corporationによって提供されている単体テストフレームワークで、初めてVisual Studioに標準搭載されました。Visual StudioのUI上から簡単にテストコードを作成することができます。初期のMSTestV1のバージョンでは「コード化されたUIテスト(※1)」が利用できましたが、これは後のバージョンで廃止されました。

これに伴い、「MSTestV2(※2)」がリリースされました。MSTestV2は、オープンソースのテストフレームワークで、.NET Framework 4.5.0以降、.NET Core 1.0以降、そして.NET 5以降など、幅広いプラットフォームに対応しています。データ駆動テストを強化する「DataRow」サポートをはじめ、複数のアサート結果を一度に確認できる機能など、テストの信頼性とユーザビリティを大幅に向上させる新機能が多数追加されました。これにより、開発者はより効率的に品質の高いテストを実施できるようになります。

【参考情報】
  開発元    :Microsoft Corporation
  最新バージョン:3.4.3(2024/5 更新)
  ドキュメント :参考ページ

  ※1. コード化されたUIテストの参考ページ
  ※2. MSTestV2についての参考ページ

 

2.NUnit

NUnitは、Java用の単体テストフレームワーク(JUnit)に触発されて開発された、.NET用の単体テストフレームワークです。元々は独立した開発者によって作成されましたが、現在では.NET Foundation(Microsoftが支援する非営利団体)によってサポートされています。

NUnitはC#をはじめとする.NET言語でテストコードを簡単に生成できる機能(※3)を提供しています。Visual Studio 2017(14.8)以降、NUnitのテストプロジェクトをサポートし、NUnitテストフレームワークを使用したテスト開発を容易にするための拡張機能やテンプレートが提供されています。これにより、Visual StudioでNUnitを使用する際のユーザーエクスペリエンスが向上しています。

また、NUnitはバージョン3のアップデートにより、多くの新機能と改善が加えられました。そして、さらなる進化を遂げたバージョン4では、アサーションの機能が大幅に強化され、具体的には、アサートの結果メッセージの改善や、非同期と同期アサートの混在など、開発者がより使いやすい形でテストを実施できるようになっています。(参考ページ参照)

【参考情報】
  開発元    :.NET Foundation
  最新バージョン:4.1.0(2024/2 更新)
  ドキュメント :参考ページ

  ※3. 拡張機能:NUnit Test Generator VS2022

 

3.xUnit(xUnit.net

xUnitは、NUnitの開発者の一部によって新しく生まれた単体テストフレームワークで、.NET Foundation(非営利団体)により支援されています。xUnitは、他の単体テストフレームワークの課題を吸収し、機能と利便性の改善に重点を置いて設計されました。その結果、xUnitは独自の特徴と利点を持つ高度なテストフレームワークとなりました。(※4)

NUnitと同様、xUnitもVisual Studio 2017(バージョン14.8)以降で強化されたサポートを受けています。Visual Studioには、xUnitテストプロジェクトを容易に始められるテンプレートが用意されており、xUnitのテストコードを生成するための拡張機能やツールも利用できます。これらのツールを活用することで、開発者は手間をかけずにテストケースのテンプレートを自動生成したり、既存のコードベースからテストケースを導出することが可能になります。(※5)

【参考情報】
  開発元    :.NET Foundation
  最新バージョン:2.8.1(2024/5 更新)
  ドキュメント :参考ページ

  ※4. xUnitの構築理由や改善内容など
  ※5. 拡張機能:xUnit.net.TestGenerator2022

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単体テストフレームワークの比較

単体テストフレームワークの概要だけでは違いが分かり難いため、情報をまとめて比較してみます。

1.基本情報

内容 MSTest NUnit xUnit
開発元  Microsoft Corporation  .NET Foundation  .NET Foundation
VisualStudioの標準搭載  有り(VS2005以降)  有り(VS2017以降)  有り(VS2017以降)
バージョン更新日  2024/5   2024/2   2024/5 
Google検索ヒット数(全て)  約530,000件   約2,150,000件   約2,430,000件 
Google検索ヒット数(日本語サイト)  約10,100件   約31,300件   約30,000件 

開発元は、全てMicrosoft Corporationが関連しており、VisualStudioの新しいバージョンにも単体テストフレームワークが全て標準搭載されています。

MSTest は、Microsoftの公式テストフレームワークで、最新のバージョン更新は2024年5月です。情報量は相対的に少ないですが、Microsoftの提供するドキュメントが充実しているため、外部情報の必要性が低いと考えられます。

NUnit は、.NET Foundationが開発し、2024年2月に最新バージョンが更新されました。Google検索結果は豊富で、.NETコミュニティに広く受け入れられていますが、更新頻度はやや低めです。

xUnit も.NET Foundationによるもので、2024年5月にバージョンが更新されています。検索結果の数から見ると、NUnitに匹敵する人気を持ち、開発者からの関心が高いです。

これらのテストフレームワークは.NET開発においてそれぞれ異なるニーズに対応しており、Microsoftの公式サポートを受けるMSTest、長年の信頼性を持つNUnit、最新のテスト手法に注目するxUnitがあります。


次は、機能的な内容(単体テストフレームワークの属性)です。

 

2.単体テストフレームワークの属性(一部)

内容 MSTest NUnit xUnit
テストメソッド  [TestMethod]  [Test]  [Fact]
テストクラス  [TestClass]  [TestFixture]  –
テストメソッド呼び出し直前に実行  [TestInitialize]  [SetUp]  コンストラクタ
テストメソッド呼び出し直後に実行  [TestCleanup]  [TearDown]  IDisposable.Dispose
テストクラスの最初に1回実行  [ClassInitialize]  [OneTimeSetUp]  IClassFixture<T>
テストクラスの最後に1回実行  [ClassCleanup]  [OneTimeTearDown]  IClassFixture<T>
テストフィクスチャーの定義  –  –  ICollectionFixture<T>
パラメータ化(データドリブン)  [DataSource]  [Theory]  [Theory]
 [InlineData]
 [MemberData]

 [ClassData]

※ 上記は xUnit.netサイトのドキュメント(Attributes)から引用
https://xunit.net/docs/comparisons#attributes

単体テストフレームワーク毎に、属性の定義内容の違いはありますが、xUnitは他の単体テストフレームワークにはない、以下の特徴(一部)があります。

・ テストケースの分離 :テストケース毎にテストクラスがインスタンス化されるため、テスト間の依存関係が最小限になる。初期化に関する属性も廃止され、代わりにコンストラクタやDisposeが使用される。

・ 自由なフィクスチャー:IClassFixture、ICollectionFixtureを使用することで、フィクスチャーを自由に設定・共有することが可能になる。

・ パラメータ化の簡略化:テストデータ用の属性(InlineData、MemberData、ClassData)が使用できるため、パラメータ化の定義が簡略化される。

この特徴により、xUnitは他の単体テストフレームワークに比べて、拡張性の高いテストコードをシンプルな構文で定義できるため、保守性の高い自由なテストケースを作成することが可能になります。
その他機能の比較については、xUnit.netサイトのドキュメントにもまとめられていますので、よろしければご覧ください。
最後は、単体テストフレームワークの流行です。

 

3.単体テストフレームワークの流行

Google Trends(キーワード検索回数の平均値)

検索年 全ての国(検索回数の平均値)
MSTest NUnit xUnit
2021年  20  75  73 
2022年  17   68   82 
2023年 17  67  82 
2024年(1月~6月) 18  70  84 

※ 上記の情報はGoogle Trendsから各フレームワーク名をキーワードに算出
https://trends.google.co.jp/trends?geo=JP&hl=ja

グローバルな視点から見ると、xUnitが圧倒的な検索回数を誇り、その後にNUnit、最後にMSTestが続く形です。具体的には、2021年から2024年6月までの平均検索回数では、xUnitが最も高く、次いでNUnit、MSTestと続きます。xUnitとNUnitの検索数は比較的安定しており、xUnitは特に2022年以降、その人気をより一層固めている様子が伺えます。
一方、日本国内でのキーワード検索割合を見ると、xUnitが46%と最も高く、NUnitが30%、MSTestが24%となっています。これはグローバルトレンドと大きく異なるわけではありませんが、MSTestの割合がやや高いことが特徴的です。この背景には、日本国内の企業がMicrosoft製品に対して高い信頼を寄せていることが考えられます。MSTestは昔からVisual Studioに統合されており、その利用しやすさから、日本での採用が進んでいる可能性があります。

 

nuget Trends(nugetに公開されている単体テストフレームワークのダウンロード数)

検索年 MSTest NUnit xUnit
2年前から1年前までのDL数(増加率) 61,358,845 (45.21%) 79,154,028 (43.76%) 109,458,896(49.75%) 
1年前から現在までのDL数(増加率)  61,485,695 (31.20%)  85,337,407 (32.81%)  129,606,664(39.34%) 

※ 上記の数値はnuget Trendsから各フレームワーク名をキーワードに算出
https://nugettrends.com/

最近のデータ分析では、MSTest、NUnit、xUnitの3つのテストフレームワークがダウンロード数の面で引き続き開発者に広く利用されていることが確認できます。Google Trendsの検索回数と同様、ダウンロード数もxUnitが最も多く、次いでNUnit、MSTestの順となっています。この2年間で、全てのフレームワークがダウンロード数を増加させていますが、成長率は減速傾向にあることが見て取れます。

この成長率の減速は、テストフレームワークが既に広範に普及しており、新規採用の余地が限られていること、またテストフレームワーク市場の成熟度が高まっていることに起因している可能性があります。それにもかかわらず、ダウンロード数の絶対的な増加は、これらのフレームワークが依然として重要な役割を果たし続けていることを示しています。

特にxUnitは、この期間中に最も高い成長率を維持し、顕著な人気を誇っています。これはxUnitが提供する機能やエコシステムが、開発者やプロジェクトによって好まれていることの証かもしれません。

 

まとめ

C#の単体テストフレームワークとして、MSTest、NUnit、xUnitの3つを紹介し、それぞれの特徴と利点を比較しました。その結果、私が最もおすすめするフレームワークは・・・

xUnit です!!

理由としては、「開発元の活動も活発で定期的に更新されている」「世界的に人気があるためフレームワークに関する情報量も多い」、「属性やテストコードが簡略化され保守性が高い」ことに魅力を感じたからです。
しかし、必ずしもxUnitが全てのプロジェクトに最適とは限りません。プロジェクトの状況や目標、チームメンバーの知識や経験、利用可能な時間や予算などを考慮し、最適なテストフレームワークを選択することがプロジェクト成功の鍵となります。

さらに強調したい点として、テストフレームワークの利用をより効率的で効果的にするためのツールも存在します。例えば、dotTESTなどのツールを利用すると、MSTest、NUnit、xUnitのテスト結果を集計したり、カバレッジを計測したりすることが可能になります。これらの機能は、テストの網羅性や妥当性を確認し、品質管理を強化する上で非常に有用です。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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